心をつなぐ英語③ 「No」と言われた人への言葉のかけ方

Introduction (the full text in Japanese continues below (日本語の本文が続きます)):

さくら新聞』(DCとヒューストンのコミュニティ・ペーパー)における連載の最新記事です。4月は、米国で高校時代を過ごす人たちにとっていろいろと難しい時期です。3月に来た大学の合否の結果を消化したり、補欠合格の結果を待ったり、プロムに好きな人を誘ってみたり…。また、「No」と言われた場合、そういう年頃の人は特に痛みを感じがちです。そこで第3回は、何かを断られた、特に若い人にかけることのできる言葉を取り上げます。

“Compassionate Phrases in English (#3): Comforting Someone Who Was Told ‘No'”

Here’s the latest article for my column in “Sakura Shimbun,” a Japanese community paper in DC and Houston. April is a difficult month for some high schoolers in the U.S. (especially those who’ve just gotten or are waiting the results of their college applications, as well as those who are asking their crushes out to prom). This month, I am discussing ways to comfort younger people who were told “No,” being mindful of the fact that rejections may seem a lot more personal and hurtful for them than for adults.

The article is also online here.

4月は日本では始まりの季節ですが、米国でも、特に高校生にとっていろいろと変化の多い時期です。12年生の生徒たちは、3月までに来た大学の合否の結果を消化したり、補欠合格の結果をやきもきして待ったりしているでしょう。また、4月末から学年度の終わりに向けて行われるプロムにおいては、友人や級友と行く人もいますが、勇気を出して好意を持つ相手を誘う人もいて、人間関係が変わったりもします。すべてうまくいけばいいですが、ただでさえ多感な10代の頃に「No」と言われると、成人以上に痛みを感じがちです。そこで今回は、何かを断られた、特に若い人にかけることのできる言葉を取り上げます。

恋愛でも大学でも、今起きていることでその後の人生が大きく左右されると思う人も多いでしょう。そういった人には、 This won’t affect the rest of your life. と言い、人生の先輩として自分の経験を語り、20代以降も数多くの機会や決断があって今につながることを示せます。 This is just a minor setback. という言葉で、一時的な後退であって挫折ではないことも伝えられます。

学校の場合は、その時不合格だったとしても、まずは別のところに入学し、あとから転学できる可能性があります。 The timing just didn’t work out. You can try again once you feel better prepared. と言えば、努力次第で状況を変えられる可能性を示し、もっと勉強しようという意欲を奮い立たせられるかもしれません。

特定の相手や学校しか好きになれない、と本人がその時思っていても、家族や親しい友人から見れば、憧れに基づく思い込みがあり、相性が合わないことが明らかだったりします。 There are so many other options. と言って、理想的な人について一緒に考えたり、 You might end up liking it once you’re there. と合格済みや結果待ちの他の大学の長所について話し合ったりすることができます。

その人自身が否定されているわけではない、という点も理解してもらうことが重要です。大学は大量の願書を捌いていますし、恋愛でも、表面的な部分だけ見て断ってしまう10代の子は多いでしょう。 It’s nothing personal. と声をかけ、They’re only judging you based on what they think they know about you. と説明することができます。本当にやめるべきと思われる相手や学校なら、 You wouldn’t want someone who doesn’t understand your qualities anyway. と終止符を打つことができます。

将来に対する不安でいっぱいな10代の人たちには、一時期的な悩みだと口で説明しても、なかなか理解してもらえないかもしれません。でも、慰めてもらった思い出や温かい言葉はきっと心に残ります。成人し、後から振り返った時に、その言葉の意味がじんわりと心に浸透するでしょう。こういう時に交わす言葉は、長期的な効果があるからこそ、一層大切なものなのかもしれません。

心をつなぐ英語② 迷っている時の回答の仕方

Introduction (the full text in Japanese continues below (日本語の本文が続きます)):

さくら新聞』(DCとヒューストンのコミュニティ・ペーパー)における連載の最新記事です。第2回は、三寒四温の日々に絡めて、迷っている時にも失礼に当たらない形できちんと回答する(熱意があるのかないのかよく分からないような対応を避ける)方法を模索します。

“Compassionate Phrases in English (#2): Responding Politely Even When You’re Wavering”

Here’s the latest article for my column in “Sakura Shimbun,” a Japanese community paper in DC and Houston. This month, I touch upon the “Hot N Cold” (a la Katy Perry ♬) temperature in early spring–and then discuss ways to respond to someone politely even when you’re uncertain about your feelings or your schedule.

The article is also online here.

3月上旬の春先は三寒四温で、気温が大きく上下し、気が抜けません。この季節になると、Katy Perryの「Hot N Cold」が思い起こされます。その歌は恋愛に関するものですが、熱意があるのか分からないような優柔不断な態度は、仕事や社交など他の人間関係においても失礼にあたります。そこで今回は、何か申し出や誘いを受けた時、迷っていたとしても相手に悪い印象を与えないような回答の仕方を取り上げます。

回答に迷うことを言われた場合、即答できないことに意識が行ってしまいがちですが、断る可能性があるのであればなおさら、まず感謝の意を表明することが重要でしょう。パーティーへのお誘いであれば、 Thank you so much for thinking of me. と言えますし、仕事関連のオファーであれば、 I very much appreciate being considered for this opportunity. などと言えます。

次に、回答を待ってほしいという言葉です。即答できない理由は様々ですが、内容に関して迷っているというよりも、日程の問題の場合もあります。既に仮押さえが入っている場合は、 I may have a potential conflict that day, but please let me check with others and respond to you soon. などと言えます。仮押さえが確定か否かの判明に時間がかかりそうな場合は、 I’ll let you know as soon as I hear back. と付け足し、できる限り急いでいることを示せます。

就職や転勤などの大きな決断や、何か心に引っ掛かることがある場合などは、回答にもっと時間がかかるかもしれません。いつまでに返事が必要か聞いてしまうと、あまり関心がないと思われる可能性があるため、 Would you please allow me to respond by the end of the week? などと自分から締め切りを提案する方がよいでしょう。転勤など、他者も巻き込む話の場合は、 I’d like to consult my family. などと補足できますし、迷っている場合は、 Because this is such an important decision, I’d like to think about it carefully. などと言う表現で理解を求めることができます。

日程調整をしたり決断を下したりした後、最終的な回答をする際は、 I’m sorry to have kept you waiting. Thank you very much for your patience. といった言葉を添えると良いでしょう。先方からの誘いを受けるために予定を動かした場合は、 I adjusted my schedule and am now available. と率直に伝えると熱意が伝わるでしょう。いろいろと迷った後、最終的に断ることになった場合は、真摯に This was a difficult decision for me. と言って理由を説明すると、次にまた声をかけてもらえるかもしれません。

迷うことは誰にでもありますが、回答を待ってもらうことでどうしても相手に迷惑がかかります。最終的にどんな決断となるにせよ、誠実な形で事情や心情を説明すれば、きっと分かってもらい、良好な関係を維持できるでしょう。

心をつなぐ英語① 復帰した人への言葉のかけ方

Introduction (the full text in Japanese continues below (日本語の本文が続きます)):

コロナで休刊となっていた『さくら新聞』(DCとヒューストンのコミュニティ・ペーパー)が復刊し、今月から新しい連載を始めさせていただくことになりました。戦争や災害など、以前にも増して暗いニュースが蔓延している今だからこそ、「心をつなぐ英語」に着目し、異なる背景の人々ともつながることができるようなフレーズを模索します。第1回は、復刊に絡めて、復帰した人への言葉のかけ方を取り上げます。

“Compassionate Phrases in English (#1): Welcoming Someone Back After a Long Absence”

Sakura Shimbun,” a Japanese community paper in DC and Houston, is back this month after its COVID hiatus. With my new column, “Compassionate Phrases in English,” I focus on ways to connect with, reach out to, and support others–which is especially crucial when we struggle with wars, disasters, and other hardships. The first episode celebrates the return of “Sakura Shimbun” by exploring how to welcome someone back after a long absence.

The article is also online here. (And I also have a little ad for my company now! Can you spot it? 😉)

2019年8月から2020年3月にかけて、「英語de敬語」の連載をさせていただきました岡崎です。今回、さくら新聞が月刊紙として復刊し、連載の機会を再びいただけることになりました。

過去4年間で世の中が大きく変わりました。コロナがインフルエンザと同じくらい生活の一部となり、世界を巻き込む戦争が二つも勃発し、災害も増えています。そこで今回の新連載では、「心をつなぐ英語」として、敬語に限らず、人の心に寄り添う言葉に着目します。英語は世界共通語の一つで、異なる背景の人々をつなぐものです。辛い時には人を支え、楽しい時には喜びを分かち合う言葉を使えば、自分も心が軽くなるように思います。

まずは、今回の復刊に絡めて、復帰した人にかける言葉を取り上げます。やむを得ない事情でしばらく休んでいた人が職場などに戻ってきたとします。同僚に迷惑をかけたと罪悪感を感じたり、溜まった仕事を心配したりしている人も多いでしょう。そのため、最初に会った時に It’s good to have you back! と笑顔で歓迎すると、先方もほっとするでしょう。親しい人には We missed you! と言ってハグしたり、最初の挨拶の終わりに Let’s catch up over lunch. と言って後でゆっくり話を聞くこともできます。

こじらせてしまった風邪など、休んでいた理由が周知されている場合は、 I’m glad to see that you’ve recovered. と付け足すこともできます。松葉杖をついていたりと負傷していることが明らかな場合には、 Let me know if you need help with anything. と申し出ることもできます。家族の事情など、理由が周りには知らされず、親しい関係の自分にだけ教えてもらった場合は、二人きりになった時に I’m so sorry about your grandmother. などとそっと声をかけることができます。

職場復帰においては、仕事についてもやり取りがあるでしょう。代行してくれたからと謝罪や感謝の言葉をもらったら、 I didn’t do much at all. You also helped me when I was away. などと言って安心させることができます。溜まった仕事を処理し、いつもの作業に再び慣れるのに時間がかかっている場合は、相手が部下であれば、 Do you need more time to work on this?などと声をかけ、締め切りをずらす提案をすることができます。同僚であれば、 What can I do to help? と単刀直入に聞き、先方が遠慮しないように I don’t have any deadlines right now. などと説明して、手伝う余裕があることを明らかにできるでしょう。

復帰は本来喜ばしいものですが、その場を長く離れていた人は多くの不安を抱えていることも事実です。思いやりのある言動でそれを少しでも和らげ、大きな変化を経験して戻ってきた人に安心と安定感をもたらすことができます。