DCとヒューストンのコミュニティ・ペーパー、『さくら新聞』で書かせていただいているコラム「英語 de 敬語」。 今月はバレンタインに言及しつつ、ビジネスの場における、人や物に対する好意の表明の仕方を取り上げました。
My column this month in “Sakura Shimbun,” a Japanese community paper in DC and Houston, touches upon Valentine’s Day and discusses how to express positive feelings for people and objects that you like.
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お店やレストランが赤やピンクに包まれるバレンタインは、寒く暗い2月の日々にわくわくした楽しさや温かさをもたらしてくれます。ビジネスは恋愛と無縁の場合が多いかもしれませんが、人や物に対する好意を表明する機会は少なくありません。そこで今回は、そういったポジティブな気持ちの伝え方を取り上げます。
まず、人事評価などで、上司、同僚や部下に対する評価を第三者から聞かれた場合。少し稚拙に聞こえる like よりも、 respect や admire といった言葉を使った方がよいかもしれません。米国はセクハラやパワハラなどにとても敏感なため、誤解を招かないように、その人個人への感情よりも、 I admire the way she treats all employees fairly. や、 I appreciate how resourceful and efficient he is. といった形で、その人の長所やスキルに対する好意を示した方がよいでしょう。
また、学生や部下の推薦状を依頼される教授や上司は多いでしょうし、転職を考える部下が応募した会社から、「レファレンス」として電話やメールでその人の評価を聞かれる上司も多いでしょう。 I was always impressed with his thorough research and insightful essays. と主観で言う以外にも、 Her subordinates told me she was a reliable and trustworthy boss. と周りの評価も交えることもできます。一緒に仕事をしたことがある業者について、誰かに非公式に聞かれた場合も、 She is a copywriter who always captures perfectly what we want to say. などと褒めることができます。
仕事に応募した人や外部の人から、自分の職場についての考えを聞かれる場合もあるでしょう。これには I love how we make a difference in people’s lives. や I’m proud of the innovative products we make. といった言い方ができます。自分の職務についての意見を聞かれれば、 I enjoy publicizing the accomplishments of our talented students and faculty. などと答えられます。
日々の業務の中でも、好みを他者に伝えることがあります。デザイナーなどの業者とのやり取りの中で、いくつかの選択肢から一つ選び、細かな点を変えていく場合には、 prefer という言葉が便利です。 We prefer the black one. などと特定できますし、 Our preference would be to use a brighter color palette. など、選択肢にない希望も伝えられます。好ましくない状況も、 We’d like to replace the purple with blue. や Would you please enlarge our logo? など、代替案を交えれば分かりやすく、柔らかく聞こえます。
ビジネスの場での好意の表明は、遠回しな表現を使ってポジティブな点のみ取り上げるため、人間関係を円滑にする義理チョコと似ているかもしれません。そんな中でも、称賛のさじ加減で、好意の程度を相手に量ってもらうことはできます。本当に好きな人や物は、言葉を惜しまず、甘さ全開で褒めたいものです。